理念浸透と理念薫陶 〜水のように、煙のように〜

企業経営において、
「理念をどう伝えるか」は、とても大切なテーマです。

よく使われる言葉に
「理念浸透」という形があります。
理念を社内に行き渡らせ、
一人ひとりの判断や行動の基準にしていくこと。

私自身も、この考え方を大切にしています。

水のように染み込む「理念浸透」

理念浸透とは、
水が土に染み込むようなものだと感じています。

言葉として繰り返し触れ、
日々の行動や判断の中で使い、
少しずつ、確実に浸み込んでいく。

最初は意識していても、やがて無意識の判断基準になる。

これはとても健全で、組織にとって欠かせない在り方です。

私たちがスイミングを通じて
水と向き合っていることも、
どこか通じるものがあります。


煙のように包み込む「理念薫陶」

一方で、理念薫陶は、煙や香りに近い感覚です。
薫陶とは「優れた人格で感化し、立派な人となるよう教え育てること」を意味します。
知識や技術を教えるだけでなく、日々の姿勢や生き方を通して相手にいい影響を与えることを指します。
語源は香をたいて薫りをしみこませ、粘土をこねて形を整え陶器を作る行為から生まれた言葉であり、
香を焚きしめて心に沁み込ませ、土を練って器をつくるように、人の心を育てる意味に発展したとか。

厳しい指導や叱責ではなく、日々のふるまいや姿勢を通じて、
相手の在り方そのものを変えていく。それこそが、「薫陶」という言葉が持つ本質なのかと感じました。


理念薫陶を通じて空気感や雰囲気から伝播していく。

  • この場所は、なんとなく安心する
  • この人たちは、優しい関わり方をする
  • ここにいると、自然と気持ちがやすらぐ

そうした感じ取る価値観が、
知らず知らずのうちに人の心に残っていきます。

これは教え込むものではなく、共に過ごす中で育まれるものだと思っています。


水の寺子屋ビッグウイングスイミングとして

スイミングは、
「水の寺子屋」という名前を掲げています。

寺子屋とは、
ただ知識を教える場所ではなく、
人の在り方や生き方が、
自然と伝わっていく場所でした。

水のように、
静かに浸み込み。

煙のように、
やさしく包み込む。

理念浸透と理念薫陶。
この両方があってこそ、
本当に意味のある理念になるのだと感じています。


理念は「覚えさせるもの」ではない

私たちの理念
「人の倖せを創造し、笑顔で想いを実言する」
も同じです。

暗記してもらうための言葉ではなく、評価のための言葉でもありません。

日々の関わりの中で、ふとした場面で思い出され、
自然と行動に表れてくる。

そんな存在であってほしいと願っています。


最後に

理念は語らなくても伝わります。

水のように、気づけば染み込んでいる。

煙のように、気づけば包まれている。

水の寺子屋ビッグウイングスイミングが、
子どもたちにとっても、
保護者の皆様にとっても、
スタッフにとっても、
そんな場所であり続けたいと思います。

これからも、
理念を「教える」のではなく、
共に在る中で育てていく。

その姿勢を、大切にしていきます。