貪瞋痴三毒と六煩悩

― 苦しみの設計図 煩悩の中心にあるのが
貪・瞋・痴(とん・じん・ち)です。

これを「三毒」と呼びます。
毒とは、心を蝕む根本原因という意味です。


三毒とは何か

① 貪(とん) むさぼり(貧しい心)

もっと欲しい。
失いたくない。
手放したくない。
思い通りにならない。

もっともっとの我欲ですね

物欲、名誉欲、承認欲、食欲、性欲――
際限なく求め続ける心です。
「求不得苦(ぐふとっく)」という言葉があります。
欲しいものが得られない苦しみです。

欲は必要ですが、その欲望が
得られないときに苦しむ教えです。

西遊記で言えば、猪八戒。
欲望のままに生きる存在が「貪」です。


② 瞋(じん)  怒り

貪で思い通りにならない。
否定された。
裏切られた。

その瞬間に湧く怒り、憎しみ、嫌悪。

怒りは自分を守る本能でもありますが、
暴走すれば破壊になります。

孫悟空の頭の輪。
怒りが暴走すると締められる。
つまり「制御」が必要だという象徴です。


③ 痴(ち)― 無明・愚かな嫉妬心など

物事の本質が見えていない状態。

自分の都合の良い解釈。
噂を信じる。
先入観で判断する。

痴があるから貪が生まれ、
貪が満たされないと瞋が出る。

実は三毒の根は「痴」です。
無明(むみょう)  光が当たっていない状態。

西遊記の沙悟浄は、
疑い、迷い、流される象徴です。


三毒は解毒できるのか

答えは簡単ではありません。

なぜなら三毒は本能として体に備えついた装置だからです。

「もっと良くなりたい」が貪。
「怒る」のは瞋。
「知らなかった」が痴。

問題は存在ではなく、
気づかないことです。


六煩悩

三毒に三つを加えたものが「六煩悩」です。

  1. 貪
  2. 瞋
  3. 痴
  4. 慢(まん)
  5. 疑(ぎ)
  6. 悪見(あっけん)

慢(まん)― うぬぼれ心

自分は正しい。
自分のほうが上。ということは相手は下。

比較と優劣の心です。

慢は気づきにくい煩悩。
実力がつくほど強くなります。


疑(ぎ)― 疑う心

信じきれない心。

教えを疑う。
人を疑う。
自分を疑う。

健全な疑問と、心を閉ざす疑いは違います。
後者は前に進めなくなります。


悪見(あっけん)

誤った見方。

「自分さえよければいい」
「世の中は敵だ」
「極端に白黒つける」

視野が狭くなる状態です。


苦しみの連鎖

痴(無知)
↓
貪(欲望)
↓
瞋(怒り)
↓
慢・疑・悪見が膨らむ
↓
対人トラブル・社会問題へ

十悪(殺生・盗みなど)もここから生まれます。

六煩悩は
心の設計ミスの積み重ねです。


なくすのではなく、整える

お釈迦様は「なくせ」とは言ってなかったようです。
「気づき、整えよ」と解釈をしています。

熱いヤカンに触れれば、自然に手を離す。
同じように、煩悩の苦しみに気づけば、
自然と距離をとれるようになります。

三毒は敵ではありません。
それは生きる力と表裏一体です。

欲を志に変え、
怒りの本質にフォーカスし、
無知を学びに変える。

小欲ではなく大欲へ(世界平和など)
怒るよりニコニコ
知らないことを知る喜び

ここに人の生きる本質があると私は思っています。