良い指導だけで、想いは届くのか

スイミングにおける「クロージング」の本質

前職では、多くのことを学び、経験を通して体得させていただきました。
4年間で競泳コーチとして進む選択肢とは別れ、現在につながる道を選びました。

その中で身につけ、
今でも大切にしているスキルの一つが「クロージング」です。

スイミングスクールは、
教育産業であると同時に、サービス業であり接客業でもあります。
フィットネスクラブの場合接客行重視傾向ですが、全体としては施設産業かと💦

話しを戻しますと、コーチが「先生」と呼ばれる環境だからこそ、
指導には熱心でも、接客や入会のご案内には苦手意識を持ってしまう。

そのような現場を、これまで数多く見てきました。

クロージングは単に商品を売り込むための技術だとは考えていません。

・検討しているお客様の心理を理解し
・迷っていることを一緒に整理し
・そのご家庭が納得できる決断に至るまで
を支える力だと位置づけています。

この力を学び、
現場で実践すると、必ず当時の自店入会率が自然と高まっていきました。


良い指導をしていれば入会してもらえるのか

スイミングスクールで、
「良い指導をしていれば、自然に入会していただける」
 と錯覚してしまうことがあります。

もちろん、良い指導は必要条件です。
しかし、体験を終えた保護者様の心には、
・「子どもは続けられるだろうか」
・「送迎が負担にならないだろうか」
・「月謝に見合う成長があるだろうか」
・「ほかの習い事と両立できるだろうか」
という、さまざまな想いが無意識に働きます。

最初から入会を決めているご家庭へのご案内だけでは、
本当の接客力は分かりません。

現場の力が問われるのは、迷いや不安を抱えている
ご家庭と向き合う場面です。

その迷いをどれだけ丁寧に受け止め、納得できる一歩へつなげられるか。

そこにクロージングの本質があります。


「検討します」は、お断りと限らない

「検討します」と言われたとき、
すぐにお断りだと決めつける必要はありません。

大切なのは、
「どのような点で迷っていらっしゃるのか」
をもう一歩踏み込み、丁寧に伺うことです。

料金なのか、曜日なのか、送迎なのか。

それとも、お子様が続けられるかという不安なのか。

迷いの理由が分かれば、解決できることと、今は難しいことを一緒に整理できます。

答えを急がせるのではなく、まずは相手の言葉を聞く。

クロージングの入口は、話すことよりも「聴くこと」なのです。
コーチは話し上手でも聞き上手になる方が良いと考えます


各ご家庭の物語を創る

もしご入会いただいたら
「こんなことができる」
「こんな形になる」
「こんな子育て生活になる」。
という各ご家庭の物語を用意することです。

その中には
「自由でのびのびと」「泳げるようになれば良い」
「友達作り」「しっかりきっちり教わりたい」「競泳をする」
など様々です。
そこで自分のスイミングはどんな場所でどんなことを提供できるかを
伝えるのがフロントとコーチの連携と思います。

これは営業以前に、スイミングへ通う物語をご家庭へお伝えする大切な仕事です。

僕たちは、入会を迫る必要はありません。
入会しないという判断も含めて、
そのご家庭が納得して決められるように支えることが大切です。

そのうえで、本当にその子の成長につながると確信できたなら、
「一緒に頑張ってみませんか」と、自信を持って伝える。

それが、指導者としての責任でもあると思います。


売るのではなく、伝える

良い施設だから。
良い指導をしているから。
販促がうまくできているから。

それで自然に選ばれるほど、現場は単純ではありません。
ただ待っているだけでも、僕たちの想いは届きません。

売らなければならないのではなく、伝えなければならない。
伝える責任と、選んでいただく謙虚さ。

この両方を持つことが、スイミングにおける
本当のクロージングではないかと僕は考えています。

これからも、入会という数字だけを見るのではなく、
その先にある子どもたちの笑顔と成長を見ながら、
一人ひとりとのご縁を大切に育ててまいります。

どんどん良くなる
未来は明るい